カラーグラフ 感染症グローバリゼーション・9
国際的に再び広がりを見せている住血吸虫症
西山 利正
1,2
1奈良県立医科大学寄生虫学教室
2奈良県海外渡航者健康相談事務局
pp.2433-2438
発行日 1997年12月10日
Published Date 1997/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904873
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世界的に住血吸虫は約2億人ものヒトが感染しているといわれ,極めて重要な寄生虫疾患の一つである.ヒトに本来寄生する住血吸虫は,主に日本住血吸虫(Schistosoma iaponicum),マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni),ビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobinm)の3種類に分類され,東アジア,東南アジア,アフリカ,中南米などに広く分布している.また最近,これら住血吸虫の一部浸淫地では,灌概やダム建設など治水工事のために中間宿主である淡水産の貝が増殖し,大流行の兆しをみせている.これらの状況をふまえ,わが国でも輸入住血吸虫症を経験する可能性が増加すると考えられる.
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