今月の主題 臨床医のための遺伝子工学
遺伝子工学の臨床への応用
疾患解析への応用
血液疾患
平井 久丸
1
,
本田 浩章
2
1東京大学医学部附属病院無菌治療部
2東京大学医学部附属病院第3内科
キーワード:
チロシンキナーゼ活性
Keyword:
チロシンキナーゼ活性
pp.2136-2138
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904807
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Philadelphia染色体(Ph1染色体)は,慢性骨髄性白血病(CML)の90〜95%,急性リンパ性白血病(ALL)の10〜20%に認められる染色体異常である.これは9番染色体と22番染色体との相互転座t(9;22)(q34;q11)により生じ,この結果,9番染色体上のc-abl遺伝子と22番染色体上のbcr遺伝子との融合遺伝子産物p210bcr/ablが産生される1).P210bcr/ablは正常のc-abl遺伝子産物に比べて高いチロシンリン酸化能を持ち,この増強されたチロシンキナーゼ活性が白血病の発症に関与していると考えられている2).しかし,p210bcr/ablが実際に白血病の原因遺伝子であるかどうかを確かめるためには,逆に生体内で発現させることにより白血病が発症するかどうかを検討する必要がある.この目的のためには,個体内で特定の遺伝子を発現させることができるトランスジェニックマウスの手法が適している.ここでは,筆者らが作製したp210bcr/ablトランスジェニックマウスについて紹介する.
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