図解・病態のメカニズム 腎疾患・6
クロライドチャネルとその異常
篠崎 倫哉
1
,
吉富 宏治
1
1九州大学医学部第2内科
pp.1207-1210
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904568
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クロライドチャネルは細胞内のpHと細胞容積の調節に関わるチャネルで,すべての細胞に存在する.特殊な機能として,神経,筋肉の興奮機構や上皮細胞を介したクロライドの細胞間輸送にも関わっている.クロライドは静止膜電位の形成に大きな役割を果たしており,筋肉細胞では活動電位が発生した後の再分極を制御している.上皮細胞においてはクロライドはNa-K-2 C1共輸送体やC1-HCO 3交換体などにより,他のイオンとともにクロライドを細胞内に能動輸送することで,電気化学的平衡を超えて細胞内に高い濃度で維持されている.そのため,クロライドチャネルが開くと,細胞外にクロライドが流出することとなるが,その方向性は,基底膜側と管腔側の電位によって決定づけられる.電気的中性を守るため陰イオンが代わって細胞内に流入し,この浸透圧勾配が上皮における水の輸送の原動力となる.
近年,クロライドチャネルが次々にクローニングされ,その分布や機能,疾患との関連が明らかになりつつある.そのなかでも,嚢胞性線維症の原因遺伝子であるCFTRクロライドチャネルが最も詳細に解析されているが,その解説は他書を参照していただき,本稿では,それ以外のクロライドチャネルの一つのファミリーであるC1Cクロライドチャネルについて概説する.
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