“ホッ”とspot
神経症といわれて5年
古野 泉
1
1富士重工業健康保険組合総合太田病院循環器科
pp.344
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904113
- 有料閲覧
- 文献概要
神経症といわれて5年,1枚の心電図がきっかけで,すべての自覚症状が改善した症例がある.
症例は48歳の主婦.1991年1月18日,数秒の動悸,同時に胸部不快感を繰り返すため当院を受診.初診時,心電図上,単形性非持続性心室頻拍(NSVT)を認め,リスモダンR300mg/日投与,口渇のため1991年3月よりシベノール300mg/日に変更し,胸部症状は消失した.また,1990年8月頃より,緊張すると両手のしびれ感,硬直が数回あり,過呼吸症候群疑いといわれ,以後は現在まで精神安定剤をたびたび投与されていた.1995年4月12日,動悸が再発し,当科外来を受診した.精神的に極めてイライラした状態で,心電図上,単形性のNSVTおよび心室性期外収縮散発,ST部分の延長によるQT延長を認めた.Trousseau徴候陽性.QT延長があり,本人が極めて興奮していたため,シベノールを中止し,テノーミン50mg/日に変更した.心エコー正常.同日の採血データは,Na 143,K 3.7,Cl 103,Ca 5.4(正常8.0〜10.5),P 5.6で,Ellsworth-Howardtestの結果,原発性副甲状腺機能低下症と診断した.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.