増刊号 Common Disease 200の治療戦略
循環器疾患
上室頻拍
杉 薫
1
1東京労災病院循環器内科
pp.16-17
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903966
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疾患概念と病態
上室頻拍は心房または房室接合部が起源か臨界旋回路に入る頻拍であり,洞性頻拍のほかに異所性心房頻拍,WPW症候群にみられる房室回帰性頻拍,房室結節リエントリー性頻拍,心房内リエントリー性頻拍,洞結節リエントリー性頻拍,心房細動・粗動,非発作性房室接合部頻拍が含まれる.その発生機序は頻拍によって異なり,自動能亢進,リエントリー,triggered activity(誘発活動)が考えられている.いずれもHis束分岐部より上部から心室へ電気的興奮が伝播するために,基本的にQRS波は洞性心拍と同一となる.ただ,心拍数が多いために,His-Purkinje系へ興奮が伝導するときに脚枝以下の伝導系の一部が相対的不応期に入り,心室内変行伝導を生じてQRS波が幅広く変化することはある.血圧はある程度保たれるが,症例によっては心拍数が200/分以上になると血圧が著しく低下して虚脱状態になることがある.
治療目的は正常の血行動態を維持するために,可及的に洞調律へ戻すことである.
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