今月の主題 不整脈診療のための心電図の見方
安静時標準12誘導心電図からみた不整脈診断
Osborn波と心室細動
宇井 進
1
1東京都済生会中央病院内科
pp.878-880
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903634
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ポイント
●Osborn波はJ波とも呼ばれ,QRSとST部分の始まりとの間に見られる上向きの波形である.
●低体温時に見られることが多く,偶発低体温では重篤な基礎疾患が存在することが多い.そのため,この波形が見られたら速やかな対応が必要である.
●脳死状態でも見られることがある.
●低体温時の心電図変化として①徐脈,②心房細動,③アーチファクトとしての筋電図,④Osborn波,⑤QT時間の延長などが見られることが多い.
●Osborn波の大きさは低体温の重症度と比例し,体温が下がると大きくなる.体温の上昇とともに縮小する.
●Osborn波は,脱分極の遅延によって生ずる可能性が高く,アシドーシスが原因ではない.
●Osborn波から直接,心室細動に移行することは少ないが,医学的処置(気管内挿管,カテコールアミンの静注など)が引き金となって心室細動となることがあるので,注意を要する.
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