今月の主題 白血球
話題
慢性肉芽腫症の遺伝子治療への取り組み
岡田 真由美
1
,
奥山 虎之
2
Mayumi OKADA
1
,
Torayuki OKUYAMA
2
1国立成育医療センター遺伝診療科
2国立成育医療センター病院臨床検査部
キーワード:
慢性肉芽腫症(CGD)
,
造血幹細胞移植(HSCT)
,
遺伝子治療
Keyword:
慢性肉芽腫症(CGD)
,
造血幹細胞移植(HSCT)
,
遺伝子治療
pp.1106-1110
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101339
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1.慢性肉芽腫症(chronic granulomatous disease;CGD)の病因 好中球は,体内に微生物が侵入した際に,局所に遊走し,活性酸素を産生し殺菌を行う.CGDは,好中球の活性酸素産生能が欠損している先天性免疫不全症である.活性酸素産生に主要な役割を果たす酵素NADPHオキシダーゼは,細胞膜上のgp91phox,p22phoxのヘテロ二量体と細胞質内に存在するp67phox,p47phox,p40phox,Racp21から構成されるが,CGDではそのうちgp91phox,p22phox,p67phox,p47phoxのいずれかを欠損する.患者は,乳児期から重症な細菌および真菌感染症に反復罹患し,諸臓器に肉芽腫を形成するのが特徴である.遺伝形式は,gp91phox欠損型は,X連鎖性遺伝(このためX-CGDという),他の3病型は常染色体劣性遺伝である.X-CGDは,X連鎖性遺伝のため患者のほとんどは男性で,母親が保因者であることが多い.保因者の末梢血好中球は,正常な細胞と異常な細胞とが混在するモザイクを呈し,その割合は,Lyon効果の程度によって決まる.保因者であっても,正常な好中球の割合が5%あれば,感染症に罹患しても重症にはなりにくい.
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