図解 病態のしくみ—遺伝子・サイトカインからみた血液疾患・7
再生不良性貧血—非代償性肝硬変と原発性肝癌患者の管理
内田 秀夫
1
,
武藤 章弘
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.1578-1581
発行日 1994年7月10日
Published Date 1994/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902877
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病態と発症機序
再生不良性貧血(以下,再不貧)は,汎血球減少と骨髄の低形成を特徴とする疾患である.先天性と後天性に分けられ,後天性再不貧はさらに特発性と二次性に分類されるが,90%近くの症例が後天性特発性再不貧である.
再不貧は主として,骨髄における造血幹細胞の量的・質的異常に起因する疾患と理解される.この異常は造血幹細胞自身の異常に加えて,種々の外因性の要因によって誘導され得ることが,現在までに蓄積された莫大な基礎臨床データより明らかにされつつある.つまり,その発症機序の面からは,再不貧は極めてheterogenousな疾患であり,一つの症候群としてとらえるのが妥当である.造血幹細胞の異常を誘導する主な原因としては,免疫学的機序・造血微小環境の異常・遺伝的素因などがあげられる(図1)1,2)).
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