今月の主題 虚血性心疾患Today
心筋梗塞の治療
急性心筋梗塞に対するt-PAの適応と実際
石原 正治
1
,
佐藤 光
1
1広島市民病院・循環器科
pp.1222-1225
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901589
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急性心筋梗塞は,冠動脈内の血栓形成により冠血流が途絶され,冠動脈の支配領域に心筋の壊死を生じて発症する.冠閉塞による心筋壊死は,まず冠動脈の支配領域中央の心内膜側に生じ,時間の経過とともに周辺や心外膜側へと広がる(wavefront現象)1).このwavefront現象は,心筋壊死が冠動脈の支配領域内に広く波及する前に冠動脈の閉塞を解除すれば,心筋salvageにより梗塞面積を縮小することが可能であることを示唆する.心筋梗塞は多くの場合すでに述べたように冠動脈内血栓の形成により生じるため,薬物による血栓溶解により冠動脈の閉塞を解除し,血流を再開することができる.このようにして再開された血流は,心筋壊死の周辺や心外膜側への波及を抑え,閉塞冠動脈の支配領域にあって壊死の危険にさらされている心筋をsalvageし,梗塞面積を縮小することが期待される.
このような急性心筋梗塞に対する血栓溶解療法は,臨床的には,Fletcherらによるストレプトキナーゼの静脈内投与法やRentropらによる冠動脈内注入法の試み以来,本邦でもウロキナーゼを用いて普及している.
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