今月の主題 よくわかる水・電解質と酸塩基平衡
水・電解質異常の診断から治療まで
尿中電解質の測定と臨床的意義
小椋 陽介
1
1虎の門病院・腎センター
pp.782-785
発行日 1992年5月10日
Published Date 1992/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901494
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腎臓は尿をつくり排泄することによって,体液とくに細胞外液の量,浸透圧,電解質濃度,H+濃度を正常範囲内の一定に維持する働きをしている.したがって尿量や尿中電解質を測定することは,水・電解質代謝の調節およびその障害を知るうえで大変に役に立ち,しかも簡便な方法といえる.
細胞外液に対する負荷は絶えず変化しているため,尿は細胞外液の恒常性を維持調節した産物であり,その量も組成も常に変動する.したがって,尿中電解質の測定値も一定ではなく,ある範囲内を変動している.すなわち尿中電解質には正常値がなく,ある状態に対して推測されうる値が存在する.そこで尿中電解質を測定し,それが推測値と一致するか,または逸脱するかをみることによって,水・電解質異常の原因が腎臓にあるのか,腎以外にあるのかを知ることができる.
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