今月の主題 Common Diseases リアルタイムの診断・治療手順
呼吸器疾患
いわゆる「かぜ症候群」
田中 雅子
1
,
市川 洋一郎
1
1久留米大学医学部・第1内科
pp.574-576
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901438
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かぜ症候群は,おもに上気道(ときに下気道まで及ぶ)の急性カタル性炎症の総称である.その病原として最も多いものは各種のウイルスであるが,他にマイコプラズマ,クラミジアなども病原となりうる.かぜ症候群にはいろいろな病型があり,病原の種類によって少しずつ異なったそれぞれの病型を示す(図).症状の程度も,普通感冒のように軽微なものから,インフルエンザのように比較的激しい全身症状を伴うものまであり,かぜ症候群の臨床像は多彩である.
かぜは,一般に軽く経過し自然治癒傾向が強い予後良好な疾患であるため,臨床の場において軽視されがちである.しかし,「かぜは万病のもと」という言葉に象徴されるごとく,細菌の二次感染を合併し重篤化することもありうる.また,かぜ以外の疾患で,かぜと同様の症状のみを訴えることもあり,これらとの鑑別を正確に行うという点においても,かぜ症候群についての理解を深めることは,臨床家にとって大切なことであろう.
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