増刊号 わかりやすいエコー法の臨床
腹部エコー法
疾患と腹部エコー図異常
腎疾患—非腫瘤性疾患
中村 みちる
1
,
伊東 紘一
1
1自治医科大学・臨床病理
pp.411-415
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901179
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●検査の手順
多くの症例は血尿,蛋白尿で,内科・小児科・泌尿器科から腎エコー検査を依頼される.しかし,消化器系の愁訴で来院し腹部検査をうけ腎病変を発見される症例も少なからずあり,腹部におけるルーチンのエコー検査でも消化器系ばかりでなく泌尿器系もみるべきである.
肝脾を検査したままの体位(仰臥位または坐位)で探触子を左右側腹部にあてると,右腎は肝右葉に接し,左腎は脾に接して下方に描出される.通常は被検者の体位を変えなくても両腎を観察できる.左腎は消化管ガスが邪魔になり,よくみえないことがあるので,そのときは探触子を左中腋窩線付近肋間まで後上方に移動させてみるとよい.肋骨や消化管ガスで全貌を描出できないときは,深い吸気により腎を下方に移動させて全体の観察を試みる.被検者を腹臥位にし,背側より探触子をあてて観察することもあるが,このとき両腎は脊柱をはさんで長軸がハの字に描出される.
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