今月の主題 臓器感染症と抗生物質の選択
尿路感染症
尿路感染症へのアプローチ
村井 勝
1
1防衛医科大学校・泌尿器科
pp.1752-1756
発行日 1991年10月10日
Published Date 1991/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901094
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ポイント
尿路感染症(urinary tract infection;UTI)と起炎菌
1)基礎疾患の有無で単純性と複雑性に分ける.
2)単純性UTIの起炎菌はE.coliが多い.
3)複雑性UTIの起炎菌はPseudomonas,Enterobacterなどグラム陰性桿菌とEnterococcusが多く,複数菌感染が多い.
UTIの治療
1)単純性膀胱炎:合成化学療法剤,ABPC,第1世代セフェム系を3〜7日間投与.
2)単純性腎盂腎炎:外来患者では膀胱炎と同様経口剤を,入院患者では第1世代セフェム系の注射剤を7〜10日間投与.
3)複雑性UTIには,外来患者では広域性合成化学療法剤を投与し,入院患者では第2世代または第3世代セフェム系を7〜10日間投与.
4)膀胱炎で3〜7日間,腎盂腎炎で7〜10日間投与しても改善しないものは複雑性と考え,基礎疾患の検索を行う.
5)起炎菌の各種抗菌剤感受性が判明したならば,ただちに適切な抗菌剤を選択し投与する.
6)症状が消退しても膿尿(尿中白血球5個/HPF以上)が改善するまで治療を続け,1週間の休薬後に再発の有無をチェックする.
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