今月の主題 心不全へのアプローチ
慢性心不全の治療指針
老年者心不全の治療
桑島 巌
1
1東京都老人医療センター・循環器科
pp.1366-1367
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901003
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老年者心不全では心臓疾患以外にも,さまざまな疾患を合併しているのが特徴であり,治療法も複雑である.また短期間に再入院する頻度が高いのも特徴で,Vinsonら1)によれば,70歳以上の老年者心不全で,退院した140例中,実に66例(47%)が90日以内に再入院し,その大部分(57%)が心不全の再発による入院であったという.その理由として気管支炎や肺炎などの感染症を起こしやすいこと,薬物コンプライアンスの悪いこと,食事がよく守られていないことなどがあげられている.
老年者心不全の基礎疾患としては弁膜症が減少し,虚血性心疾患が急激に増えているが,心アミロイドーシスや腎不全に伴って発症する心不全など,老年者特有の病態もあり,その治療に当たっては基礎疾患,合併症を考慮した治療法の選択が必要である.
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