今月の主題 膠原病—活動性の評価と治療の選択
editorial:膠原病の治療と予後
柏木 平八郎
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.2210-2211
発行日 1990年11月10日
Published Date 1990/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900571
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●全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス(SLE)の予後は,近年著しく改善した.4年生存率が50%という1954年のMerrellらの報告1)と比べると,最近の報告にみる素晴らしい成績2)は隔世の感がある.このようにSLEの予後が改善された背景には,次のような要因が考えられる.すなわち,1)軽症例の診断,2)早期診断,3)早期治療,4)治療法の進歩,などである.
かつては定型的な蝶形紅斑や重篤な多臓器障害を呈してはじめてSLEと診断された.これに対し,今日では一過性の関節炎症状と,わずかの免疫学的所見のみでSLEと考えられるようになった.疾患単位としてのSLEのスペクトルが広くなったことは確かである.腎症や中枢神経症状がなくて,比較的軽症に分類されるSLE患者の予後は,重要臓器が侵されている患者群に比べ良好である.
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