増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
疾患からみた内科エマージェンシー
内分泌・代謝疾患
93.低血糖
鈴木 晟時
1
1昭和大学藤が丘病院・内科
pp.1982-1983
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900510
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ポイント
1)意識消失発作の患者をみた場合に,鑑別診断の1つに低血糖性昏睡を思い浮かべることが重要である.
2)低血糖性昏睡は,患者の既往歴が重要で,インスリンやスルフォニールウレア剤で治療中の糖尿病患者が急に意識消失したとき,あるいは長時間食事摂取なしにアルコールを飲んで意識が消失した場合の2つが主なものである.
3)低血糖性昏睡の特徴的病像は,アルコールによる場合を除いて,全体的に静かに眠っているようにみえることである.呼吸は正常かやや浅く,脈圧も十分ある.アルコール性低血糖性昏睡では,乳酸アシドーシスのために呼吸数は増大する.
4)低血糖性昏睡の救急療法は,ただちに血糖測定用の静脈採血を行い,同部位より50%ブドウ糖40〜60ml静注する.次いで覚醒の有無に関係なく10%ブドウ糖持続点滴に移行し,血糖値(静脈血漿)を150〜200mg/dlに維持する.もし,点滴開始後1時間しても覚醒がなければpost-hypoglycemic comaで,脳浮腫に対する治療も開始する.ハイドロコーチゾン100mg静注し,1時間後覚醒がなければデキサメサゾン10mg静注し,20%マニトール1〜2g/kg体重前後を20分以上かけて点滴する.デキサメサゾンは,0.1mg/kg体重/8hで静注する.
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