カラーグラフ Oncology Round・5
悪性腫瘍を疑わせた梅毒疹
新井 栄一
1
,
中山 坦子
2
,
片山 勲
1
1埼玉医科大学・病理
2東京都立墨東病院・皮膚科
pp.165-168
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900046
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顔面の腫瘤を主訴として来院し,その臨床像が悪性皮膚腫瘍を強く疑わせたため皮膚生検が施行された症例を紹介する.初診時に施行された梅毒血清反応の結果より梅毒の診断はついたものの,腫瘤が悪性でないことを病理学的に否定しておくことは必要であると考えられた.梅毒の2期疹としては大型で,著明に腫瘤状を呈したため悪性疾患との鑑別が必要となったのである.
皮膚には,悪性腫瘍を強く疑わせる臨床像をもって発症する良性疾患が少なからず認められる.生検さえ行えば良性性格が明らかになるわけであるが,不必要な生検や手術を避けるためにも,比較的頻度の高いものについてその存在を予知しておくことは大切である.症例提示のあと,いわゆる皮膚の偽悪性疾患について概説する.
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