今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療
合併症に対する治療
不整脈
林田 憲明
1
,
山科 章
1
,
高尾 信廣
1
,
田村 明紀
2
1聖路加国際病院・内科
2高知医科大学・老年病学
pp.84-86
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900025
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再灌流療法時代における不整脈といえば,再灌流性不整脈(reperfusion arrhythmia:RA)があげられるが,これは虚血心筋が血流を回復する過程で生ずる不整脈であり,胸痛,ST再上昇とともに再灌流障害の1つの表現と考えられている.冠動脈血栓溶解療法(ICT)や経皮的冠動脈形成術(PTCA)が急性心筋梗塞の積極的治療として認められつつある現在,以前より指摘されていた結紮冠動脈の再開通時に心室細動(Vf)をはじめとする心室性不整脈を誘発しやすいという動物実験での事実は,より身近なものとして注目され,多くの症例を通じて臨床医の共通の認識となっている.
結論としてRA発生機序についての詳細は未だ不明であるが1),実験的事実と臨床的経験により明らかになりつつあるものについて要約し,治療法を考えてみたい.
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