今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療
—editorial—再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療の問題点
山口 徹
1
1三井記念病院・循環器センター内科
pp.6-7
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900001
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急性心筋梗塞に対する血栓溶解薬あるいは機械的手法(PTCA)による再灌流療法の有効性が認識されるようになってから,ほぼ10年がたった.この間に急性心筋梗塞の死亡率は1/2あるいは1/3以下に減少したとされる.この成果は再灌流療法の効果もあるが,IABPの普及,静注可能な亜硝酸薬の出現などの効果も大きいと思われる.しかし急性心筋梗塞に対し再灌流療法を積極的に行っていたのは一部の第一線病院のみで,再灌流療法の恩恵を受けなかった患者のほうが多かったのが現状であろう.その意味では再灌流療法の成果発現は,ウロキナーゼが急性心筋梗塞に健康保険で認められ標準的治療法となるこれからであろう.とくにカテーテル室での冠動脈内血栓溶解療法(PTCR)の有効性が強調された時代には,カテーテル検査の可能な施設とそうでない施設との差が大きかったが,静注法の普及でその差は縮まろう.
しかし急性心筋梗塞の診療において,なおいくつかの問題点を残している.本特集ではそれらを並べ,臨床の第一線の諸先生に現時点での解説をお願いした.筆者も2,3の未解決の問題点をあげてみたい.
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