書評
—栗本 典昭,森田 克彦 著—末梢病変を捉える—気管支鏡“枝読み”術 第2版[DVD-ROM(Windows版)付]
森谷 浩史
1,2
1大原綜合病院放射線科
2大原綜合病院画像診断センター
pp.643
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228209
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栗本典昭先生に初めてお会いしたのは日本気管支学会(現在の日本呼吸器内視鏡学会)だったと思います.超音波を用いた気管支壁構造や縦隔リンパ節の研究内容を教えていただき,その緻密さに感銘を受けました.私がX線CTを使った仮想内視鏡の検討を行っていた頃です.あのとき見せていただいた,超音波画像に匹敵するような微細形態をCTでも描出できないかと今でも夢想しています.
先日,栗本先生の『気管支鏡“枝読み”術』を拝読し,とても懐かしく感じました.私は,1982(昭和57)年から2年間,坪井栄孝先生が開発した坪井式末梢病巣擦過法を習得するために郡山市の坪井病院で研修を受けました.当時の研修方法は,複数枚の断層写真からトレーシングペーパーに気管支走行をトレースして,立体的なトレース像を作成することでした.情報が足りなければ気管支造影を行いました.そうやって分枝名を記載した詳細な気管支樹を作成した後に実手技を行っていました.「枝読み術」はこのトレース作業を気管支内に視点を置いて行うことに他なりません.トレース像が画像診断医にとって肺の立体的把握に役立ったように,「枝読み術」は呼吸器内視鏡医にとって気管支分岐の立体的把握に大いに役立つでしょう.
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