特集 皮疹はこう見る,こう表現する
よく見る皮膚疾患を発疹レベルで理解する
〈真菌感染症〉
癜風
佐藤 友隆
1
1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科
キーワード:
癜風
,
Malassezia globosa
,
色素斑
,
脱色素斑
,
環状紅斑
Keyword:
癜風
,
Malassezia globosa
,
色素斑
,
脱色素斑
,
環状紅斑
pp.1930-1932
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227256
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▶疾患の概要
癜風〔tinea versicolor(pityriasis versicolor)〕は発症頻度の高い皮膚真菌症である.皮膚に常在する酵母様真菌であるマラセチア(Malassezia spp.)によって生じる疾患である1).脂腺は,マラセチアにとって必要な栄養素を供給する脂肪に富んだ汗を分泌する.高温多湿や多汗,免疫抑制状態はマラセチアの過剰増殖を促し,癜風を発症する2).マラセチアは脂酸合成酵素を有さないため,脂質要求性が高く市販のサブロー培地に培養しても発育しない.現在,ヒトに寄生するMalassezia属真菌は(M. globosa, M. restricta, M. furfur, M. sympodialis, M. japonicaなど)10種類知られている.癜風の原因菌はM. furfurとされていたが,分子生物学の進歩により日本人では主にM. globosaとされた.マラセチアは常在菌であるので,人種や気候で異なる3).
癜風は色素斑➊または脱色素斑から成り,しばしば融合傾向がある.体幹や上腕に生じる.夏に多く,さまざまな脂漏部位(脂腺の多い部位)に生じやすい.胸骨領域や間擦部,胸部,腹部の辺縁に多い4).
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