特集 脱・「とりあえずCT」!—スマートな腹痛診療
実践編
慢性的な(数カ月に及ぶ)下腹部痛
田中 由佳里
1
1仙台厚生病院消化器内科
pp.1664-1666
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226504
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症例
22歳女性.大学4年生.大学3年生頃より,週に数回の腹痛と水様便を生じるようになった.排便後はときどき残便感が残ることもあるが,少しすると改善する.腹痛時は臍下周辺が痛く,5分程度の波が出ることが多い.月経前に回数が増えるため,婦人科を受診したが,特に異常所見はないと言われた.朝の通学時のバス(1時間に2本程度)で強い腹痛に襲われて以来,トイレがない交通機関は不安を覚える.症状は朝や,食事後のほか,講義中に出ることもある.朝食は抜くことが多いが,体重の大きな変化はない.大学では学部の友人やサークル活動など,人間関係や学業に特に問題はない.就職活動中であり,また各種試験を控えている.模試直前は夜遅くまでの勉強で腹痛を生じ,思うように勉強がはかどらなかったり,模試中に腹痛が生じて辛い目に合うなどの経験が続いている.症状に対して強い不安があり,外来を受診した.
既往歴 21歳時(大学3年),カンピロバクター感染症.
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