増大号 POCUSの決め手。 早く、正確な診断のために
4章 症状別検査の進め方
下腹部痛
多田 明良
1
1紀美野町立国保国吉・長谷毛原診療所
キーワード:
下腹部痛
,
腹痛
,
POCUS
,
6アプローチ
Keyword:
下腹部痛
,
腹痛
,
POCUS
,
6アプローチ
pp.247-254
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209266
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はじめに
POCUSとは医師や看護師が臨床所見に基づいて焦点を絞りベッドサイドでリアルタイムに行う超音波検査を指す.さらにPOCUSで用いられるプロトコルは外傷性腹腔内出血検索のためのFAST(focused assessment with sonography in trauma)に代表されるように初学者にとっても簡便であり短時間で習得できるものであることが多い.
腹痛に関するPOCUSとして頻用されている領域は先に挙げたFASTの他,胆道,腎尿路,大動脈などであり,特に救急現場で広く応用されている.
一方で,これらは単一の病態や臓器に対するプロトコルであって,複数の臓器,多様な疾患を原因とする腹痛の一般外来診療では必ずしも有用とはいえない.
例えば外来診療において腹痛症例にエコーを行う場合,圧痛部位のみの走査では原因疾患を見逃すこともあり,そもそも圧痛部位が移動したり圧痛の局在がはっきりしないケースもある.また,胆道,腎尿路,大動脈,消化管やその他の原因が同時に鑑別に挙がることもある.
一方で見逃しを恐れるあまり,外来診療で検査室のクオリティーを求め超音波で観察し得る全ての腹腔内臓器をくまなく走査(系統走査)することもあるかもしれない.しかし,外来診療では時間の制限という問題もある.
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