書評
—大村和弘,川村哲也,武田 聡 編—専門医が教える—研修医のための診療基本手技
青木 眞
pp.1550
発行日 2018年9月10日
Published Date 2018/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225793
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編者のお一人である大村和弘先生とは,当時大村先生がご所属だった総合病院国保旭中央病院にカンファレンスなどで評者が定期的に伺っていたことでお会いして以来14年の付き合いとなる.初期研修の後,NPO法人JAPAN HEARTで吉岡秀人先生と出会い,アジアを中心とした国際医療協力に一時期身をていしたことは,明るく奔放なようでいて繊細な神経を持つ彼を知るものとして好ましく,ずっと好感を抱き続けてきた.プライマリ・ケア,総合診療といった世界から一見最も距離のある,巨大な機械力に取り囲まれた大学病院という環境に身を置きながら,臨床医として誰もが身につけておきたい「一定水準の診察,基本検査,救急を含めた手技の習得」をめざした本書を生み出した大村先生ならではの歴史である.本書の,特に大村先生自身が執筆された章には,大学病院で週6日の診療を受け持ちながら,年に一度は自費でアジアの国を訪ね,国際協力活動に取り組む一人の医師としての,単なる知識や技術を越えた優しさや矜恃が溢れている.
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