書評
—山崎直仁 著—循環器Physical Examination[動画・心音186点付]—診断力に差がつく身体診察!
水野 篤
1
1聖路加国際病院循環器内科
pp.205
発行日 2018年2月10日
Published Date 2018/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225324
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本書が類書と比較にならないほどの明らかな優位性は,筆者の圧倒的なフィジカル能力を別として2点ある.一つは動画・音声コンテンツ.もう一つは温故知新である.
心音のみならず頸静脈などの動画を多く含んでいることに加え,筆者が心尖拍動といったかすかな視診・触診の所見を初学者にどう伝えるかを検討してきた末に到達した「ふせん」まで,過去にも動画音声を含む書籍は多数あるが,それらと比較してもかなり豊富なコンテンツが盛り込まれている.スマートフォンやデジタルカメラといったデバイスの進化で視診・触診のダイナミクスを実際に読者に伝えることが可能となった.なんといっても「百聞は一見にしかず」ということで,視診の大切さを再度思い出させてくれるだろう.実際に例年神戸で行われる,循環器Physical Examination講習会も,今は心音に加え頸静脈,心尖拍動といった所見がかなりの要素で含まれるようになってきており,そこの講師達の中にある「暗黙知」をふんだんに盛り込んでいるので読んでいて“お得感”がある.視診および聴診を合わせることで診断に近づくことができるということを,他の誰より筆者が楽しんでいることが伝わると思う.
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