Book Review
Physical Examinationからみた循環器の病態生理[Web動画・心音付]
有田 武史
1
1福岡和白病院内科・循環器内科 統括部長
pp.1050-1050
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_1050
- 販売していません
- 文献概要
本書は,筆者の盟友,林田晃寛医師(心臓病センター榊原病院)の渾身の著作である.彼とは学生時代からの付き合いであり,九州大学第一内科に入局を決める際も,中洲で当時の医局長とその知人のつのだ☆ひろ(そう,あの「メリー・ジェーン」の)と一緒に酒を飲み,そのときの酔った勢いで一緒に入局を決めた仲である.その後同じ研究室に配属となって再び一緒になったが(昔は卒後入局してすぐに専門を決めずに,2年間研修した後にいずれかの研究室に配属となった),その当時,彼と一緒に身体所見の研鑽を積んだ.脈あり心室性頻拍の患者に対しては,頸静脈のリズムと心電図のリズムが違うことを示しながら,房室解離をベッドサイドで研修医たちに教え,皆が理解できてからゆっくりと電気的除細動をかけた.病棟で不安定狭心症の患者を見つけては,胸が痛いという患者に対してnitroglycerin(NTG)を投与せず,(カテ室にも運ばずに)そのまま心音図室に運び,Ⅳ音と心尖拍動の内方偏位を確認してからNTGを舌下させた.Wolff-Parkinson-White(WPW)症候群について,Ⅱ音の分裂パターンからA型かB型かを議論していた.循環器医としての初期段階において,病態について自由に考え,とことん議論する豊潤な時間をもてたことは,今でもわれわれ二人の宝となっている.その後,私は米国のEmory大学に留学し,彼は川崎医科大学に行って離れ離れとなったが,ときどき学会などで一緒に仕事をすることがあると,幼なじみと道端で遭遇したような気分になる.
© Nankodo Co., Ltd., 2022