書評
—乗井達守 編—処置時の鎮静・鎮痛ガイド
林 寛之
1
1福井大附属病院・総合診療部
pp.1833
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225160
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「医学は耳学問とみたり」などという指導を受けて育ったわれわれ古だぬき医者にとっては,本書は目からうろこの宝の山だ.特に事例が多く,薄い本というのが実によい(テヘ!).古来,日本人は我慢強いのが美徳とされ,患者さんの痛みにはあまり共感的ではなく,処置を優先するのが当たり前であった.「胃カメラで鎮静してほしいなんて根性のない」などと言ったものだが,とんでもはっぷん,胃カメラは特に若い人であれば地獄のようにつらい手技であることに変わりはない.
不思議なことに,医療者も自分自身が患者にならないと患者に寄り添う本当の医療が実感できないものなのかもしれない.古狸先生が患者さんに優しい良医である場合,案外自分も健康を害したことがあり,その経験が良医たるべく肥やしになっているのではないかしらン?「痛み」は第5のバイタルサインと言われ,患者さんの敏感であることも,医療者としてはすごく大事な資質なのだ.
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