増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
蛋白
免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比
増田 亜希子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.148-149
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223233
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検査の概要
形質細胞はBリンパ球がさらに分化した細胞であり,免疫グロブリンを産生する.形質細胞内ではH鎖とL鎖が別々に産生され,これらが結合して完全型免疫グロブリン(IgG,IgAなど)となり,細胞表面から分泌される.形質細胞内ではH鎖よりもL鎖のほうが多く産生されるため,血中にはH鎖と結合していないL鎖が少量存在している.H鎖と結合していないL鎖を遊離L鎖(free light chain:FLC)と呼ぶ.
免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比(free light chain ratio:rFLC)は,ネフェロメトリー法により血清中の遊離κ鎖およびλ鎖を測定し,κ/λ比を算出する検査である.多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)などの形質細胞腫瘍の場合,遊離κ鎖もしくはλ鎖どちらか一方が増加するため,κ/λ鎖比が大きく変化する.一方,感染症や自己免疫疾患などの場合,κ/λ鎖比はほとんど変化せず基準値内に収まる1).rFLC測定は,従来から用いられている免疫電気泳動や免疫固定法に比べて高感度のM蛋白検出法であり,高免疫グロブリン血症の鑑別診断や,形質細胞腫瘍の診断,予後予測,治療効果判定などに用いられる.
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