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甲状腺ホルモン,甲状腺刺激ホルモンとは
甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone,TSH)は,黄体形成ホルモン(luteinizing hormone,LH)や卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone,FSH)などと同じく下垂体前葉から分泌される糖蛋白ホルモンで,視床下部ホルモンである甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin releasing hormone,TRH)の刺激により合成および分泌が促進される.TSHは甲状腺濾胞上皮細胞に存在するTSHレセプターに作用して,甲状腺のヨードの取り込み,甲状腺ホルモンの合成と分泌,ならびに甲状腺細胞の増殖を促す.
一方,甲状腺ホルモンは視床下部におけるTRH,下垂体前葉でのTSHの合成と分泌を抑制する.甲状腺から分泌される主な甲状腺ホルモンはサイロキシン(thyroxine,T4)であり,末梢組織において甲状腺ホルモン脱ヨード酵素の働きによってトリヨードサイロニン(3,5,3′-triiodothyronine,T3)に変換されて生理作用を発揮する(図).血中の甲状腺ホルモンの大部分は甲状腺ホルモン結合蛋白(thyroid hormone binding protein,TBP)と結合し,結合していない甲状腺ホルモンは遊離型のfree T3(FT3)ならびにfree T4(FT4)として存在する.健常人ではT3の約0.3%がFT3として存在し,T4の約0.03%がFT4として存在する.T3とT4はTBPの濃度の影響を受けるが,FT3とFT4はTBPの濃度に関係なくほぼ一定に保たれるため,一般に甲状腺機能の評価にはT3,T4の測定よりもFT3,FT4の測定が望ましい.
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