今月の主題 内科エマージェンシー
疾患からみた内科エマージェンシー
腎疾患・電解質異常
急性腎不全
白井 大禄
1
1大阪厚生年金病院・内科
pp.1238-1240
発行日 1989年7月10日
Published Date 1989/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222585
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
急性腎不全は,糸球体濾過値をはじめとする腎機能の急激な低下により高窒素血症などの病態をきたす症候群である.一般に乏尿を伴うことが多いが,25〜50%に非乏尿性急性腎不全といわれるような,尿量が減少しないで高窒素血症をきたす場合もある.急性腎不全は多くの原因により起こるが,その原因によって根本的な治療法が異なるため,通常,腎前性,腎性,腎後性腎不全に分類されている.そして原因疾患の治療を行うことがまず大切であり,原疾患が治療されない限り,病態を改善させることができない.これは,急性腎不全に対する直接の特異的な治療法がないためである.そこで急性腎不全では,原因に対する治療をできる限り行うとともに,腎不全によって生じた種々の病態を対症的に治療することである.したがって,ここでは急性腎不全の一般的な経過のなかの早期に治療を必要とする発症期および維持期の治療法について述べる.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.