今月の主題 内科医のための癌治療のオリエンテーション
固形癌の治療
睾丸腫瘍
吉田 修
1
1京都大学医学部・泌尿器科
pp.250-252
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222318
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睾丸腫瘍の治療の進歩は著しく,進行症例でも治癒に導くことが可能になった1).この進歩をもたらしたのは,まず第一に化学療法の発達である.Cisplatin(CDDP)をはじめとする抗癌剤は単剤でも有効であるが,同調理論による多剤併用療法で著効を示す.第二に化学療法の足らないところを手術などで補い,全体として完全寛解に導入する,いわゆる集学的治療の確立であろう.第三に病巣の存在とその性状および進展の程度を正確に示すことができる画像診断と腫瘍マーカー測定の発達であろう.
一方,睾丸腫瘍は増殖が速く,非増殖性コロニー形成細胞すなわちG0細胞は少なく,非増殖細胞は奇形腫として分化しているものがほとんどである.換言すれば化学療法が効きやすい腫瘍であると言える.また平均発生年齢が若く,過酷な化学療法にも耐えられるという利点もある.これらが相俟って転移を有する進行睾丸腫瘍でも70%は治癒することができるようになったと考える.
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