今月の主題 新しい不整脈診療
不整脈をめぐるcontroversies
心室性期外収縮に対する治療の是非
桜井 正之
1
1北海道大学医学部・循環器内科
pp.108-110
発行日 1989年1月10日
Published Date 1989/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222287
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心室性期外収縮は,日常診療で遭遇する最も多い不整脈の1つである.その内容も,まったく治療の必要のないものから,放置すれば心室頻拍あるいは心室細動に移行する危険性があり,迅速な処置が要求されるものまで多彩である.かつて,Hissらは健康な成人121,309人(年齢16〜49歳)において通常心電図検査を施行したところ,心室性期外収縮の出現頻度は0.77%(952人)であり,また多源性のものはわずか3人にのみ認められたと報告している1).
しかしながら,近年のHolter心電図検査法の普及により,健常者においても,その総数は多くないが,40〜55%に心室性期外収縮が検出され,さらに多源性あるいは連発で出現する型も7〜22%に認められ,この傾向が年齢の増加に伴って高くなることが知られている.さらに,虚血あるいは肥大など心筋に器質的変化がある場合には,心室性不整脈の検出率はますます高まってくる.このような多大な情報量が得られる検査法が普及したことが,同時にこの不整脈をどこまで治療したらよいのかという疑問を深刻に投げかけたともいえる.
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