今月の主題 老人診療のポイント
治療および処置上の注意点
腰痛
辻 陽雄
1
1富山医科薬科大学・整形外科
pp.1351-1353
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221790
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■老人腰痛の原因
65歳以上の高齢者にみられる腰痛・下肢痛の原因は,青壮年期のそれと比べ,それほど単純ではない.一般的にいって腰痛を生じるのは大多数が脊椎,なかんずく腰椎,腰仙椎の機能障害にもとつくものであり,それは,脊柱の運動と支持を司どっている脊椎機能単位の退行性変性に起因していることが多い.
青壮年者ではこれら退行性変性のむしろ初期ないし中期に該当する諸変化—椎間板ヘルニア,脊椎辷り症,いわゆる椎間関節性腰痛症,Schmorl結節,Kantenabtrennungなど—が主体をなすのに反し,高齢者では退行変性の終末像が多い他,骨自体の脆弱性すなわち骨粗鬆症の併発,あるいは少なからず癌の脊椎転位をみることが指摘できる.
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