今月の主題 老人診療のポイント
症候・病態の特徴
糖尿病と水・電解質
梅田 文夫
1
,
名和田 新
1
1九州大学医学部・第3内科
pp.1324-1327
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221782
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老年者では,細胞内水分量が減少し,水・電解質代謝の調節機能は低下している.従って脱水症を始めとする,水・電解質異常が認められることが少なくない.
老年者における糖尿病は,青壮年期に発症し,老年期に至った経過の長い患者のほかに,老年期に顕性糖尿病として発症した患者も含まれる.その大部分はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)である.一般に加齢とともに耐糖能は低下し,糖負荷試験における境界型あるいは軽度耐糖能異常者(空腹時血糖値は140mg/dl未満,負荷後の血糖値のみ糖尿病型)の出現頻度は高くなる.老年者の軽度耐糖能異常者では,顕性糖尿病の発病頻度や動脈硬化性疾患の罹患率が高く,臨床上問題となる.しかるに老年者の糖尿病では,軽症例においても種々の水・電解質異常が認められる.
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