今月の主題 リウマチとその周辺
診断
リウマチの診断基準(含悪性関節リウマチ)
谷本 潔昭
1
1東京大学医学部物療内科
pp.974-976
発行日 1988年6月10日
Published Date 1988/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221699
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慢性関節リウマチ(RA)の診断基準は古く,1958年にアメリカリウマチ学会(ARA)により作成されてから(表1)1),長く愛用され,他の疾患の診断基準作成においても,いわばお手本ともいえる役割を果たしてきた.しかし,この診断基準に対しても最近,見直しの声が高まり,1987年のアメリカリウマチ学会において,新しく改訂された診断基準が発表された2).この改訂された診断基準は表2に示すごとく,7項目から成り,大幅に簡素化されている.このうち4項目を満たすものをRAとすると,特異性は85%から90%,感度は92%から93%と改善されてきている.旧基準にあった関節の疼痛(圧痛・運動痛など)は客観性に乏しいので省かれている.また,関節液のムチン含有量の減少,定型的な滑膜の病理組織像,皮下結節の定型的病理組織像は,RAに対する特異性はきわめて高いが,一般的ではなく,また特殊な設備を必要とするので,省かれたのであろう.
この診断基準のもう一つの大きな特徴は旧基準にみられた,classical, definite, probable, possibleの区別をなくしたことと,20項にも及ぶ除外項目を廃止したことであろう.
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