講座 内科診療における心身医学的アプローチ
代謝・栄養障害をもつ患者(2)—糖尿病,肥満
山内 祐一
1
1東北労災病院・心療内科
pp.2802-2808
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221460
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糖尿病や肥満は人の食行動とかかわりの深い病態である.しかもさまざまな代謝,内分泌系の変動を招くので,身体医学的にも興味がつきない領域である.しかし,健康科学の立場からは,もっと重要な問題を内蔵する疾患群といえる.何故なら,糖尿病にせよ肥満にせよ,それ自体が直接死に関与することはほとんどなく,問題はこれらが招く合併症だからである.たとえば動脈硬化,高血圧,心・腎・肝疾患,脳血管障害など,いわゆる成人病と直結してくる.したがって,予防医学的な視点でも捉えるべき病態である.同時に,食の病理を考えるうえで不可欠な人の心理,行動,健康教育なども介入せざるを得ない.そして,これらを体系化して実践科学として結実させていく必要がある.それ故に,最近の医療学に幅広く取り入れられつつある行動科学の知識とその応用が大切になってくる1).筆者はこうした立場から日常臨床にたずさわっているつもりであるが,ここでは,糖尿病と肥満の自験例をとりあげながら心身医学的アプローチの成果を紹介してみたいと思う.
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