今月の主題 免疫不全とAIDS
AIDS
AIDSの免疫不全の起こり方
中村 玲子
1
1国立予防衛生研究所・細胞免疫部
pp.2728-2729
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221441
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1981年に最初のAIDS症例が報告されてからわずか4年の間に病原ウイルスが発見され,その塩基配列までが同定されるに至ったが,AIDS発症に至るメカニズムについては,CD4+のT細胞(OKT4,Leu3a)にHIVが感染して,これが破壊され減少するために免疫不全の状態になるという事実以外には,詳細は依然謎に包まれている部分が多い.HIVはCD4+T細胞に選択的に感染して細胞変性効果を発現する.ヘルパー/インデューサーT細胞の減少は宿主の免疫機能を低下させ,日和見感染を合併し,AIDSに至るわけであるが,その間に長い潜伏期があり,ここに発症の引きがねとなるなんらかのメカニズムの存在が想定される.この機序の解明がAIDS研究の重要な鍵である.
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