循環器疾患診療メモ
感染性心内膜炎(infective endocarditis)の予防
山科 章
1
,
高尾 信廣
1
1聖路加国際病院・内科
pp.2656-2657
発行日 1987年11月10日
Published Date 1987/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221424
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抗生物質の発達した今日においてもひとたび感染性心内膜炎(IE)に罹患するとその死亡率は10〜20%と高く,また心不全,塞栓症など重篤な合併症を生じるため,その予防がきわめて重要である.本稿ではIEの予防についての注意点を表を中心に解説する.IEの予防のポイントは,どのような状況(①基礎疾患,②原因となる処置,③感染源および起因菌との関係)でIEが生じやすいかを知り,適切な抗生剤を投与することである.
表1にIEを生じやすい疾患および状態をリスク別に,表2にIEの予防を必要とする処置を,表3にIEの予防法を具体的にまとめた.IEの予防法についてはAHAによる提唱(Circulation 56:139A,1977)が有名であるが,本稿ではより臨床的なDurackの提唱をあげる.図に筆者らが当院で患者に携行させているIE予防カードを示す.患者が当院以外の医療施設とくに歯科や耳鼻科などへ受診する際には大変便利で重宝がられている.本カードの予防法の内容はDurackのものと少々異なるが,筆者らはこれで十分と考えている.
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