グラフ 消化管造影 基本テクニックとPitfall
胃(14)—薬剤性潰瘍,Mallory-Weiss症候群,Zollinger-Ellison症候群
西俣 寿人
1
,
西澤 護
2
1鹿児島大学医学部・第2内科
2東京都がん検診センター
pp.2440-2446
発行日 1987年10月10日
Published Date 1987/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221373
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薬剤性潰瘍
西澤 ステロイドを用いると潰瘍ができるということは大分前から言われていますが,その後,いろいろな薬剤性潰瘍が報告されるようになりました.薬剤性潰瘍も前回お話した出血例とよく似た像を示すことがあるように思うのですが,図1の症例はどのような薬が原因だったのでしょうか.
西俣 この症例の場合,患者はカゼ薬としてピリン系の薬剤を服用し,数日後に腹痛を訴えてきたわけですが,二重造影像や腹臥位圧迫像で潰瘍の存在は明らかです.さらに前庭部は拡がりが悪く,バリウムのぬりつきも悪くて粘膜全体が浮腫状で急性胃炎の場合と同様の所見を呈しています.また十二指腸の下行脚にはケルクリングひだの腫大を思わせる所見も認められ,この部位にも前庭部と同様の変化がみられるのではないかと思われます.
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