増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅳ 循環器疾患治療薬
狭心症
98.βブロッカーの使い方
武者 春樹
1
1聖マリアンナ医科大学・第2内科
pp.1984-1986
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221218
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狭心症におけるβブロッカー作用の基礎
βブロッカーの狭心症に対する作用は,①狭心症発生原因である心筋酸素需要と供給の不均衝において,心筋酸素需要を減少させること,および,②正常心筋血流を低下し,虚血部心筋血流を保持する心筋血流再分布である.その主作用である心筋酸素需要の減少の機序は,心臓交感神経受容体であるβ1レセプターにカテコールアミンと拮抗的に競合し,心拍数増加,心筋収縮力増加,血圧上昇などストレス,労作に伴う心仕事量の増加を抑制することであり,労作狭心症によい適応となる.現在,多くの亜硝酸塩,Ca拮抗薬が開発されているが,労作狭心症には依然としてβブロッカーを用いる頻度が高い.
現在一般に用いられているβブロッカーは,心臓選択性(Cardioselectivity),内因性交感神経刺激作用(Intrinsic Sympatho-mimetic Activity;ISA),および膜安定化作用(Membrane Stabilizing Activity;MSA)などの有無により分類1)されている(表).しかし,狭心症治療における投与量では,MSAの影響はほとんど認められず,またISAも投与量の増加によりβ遮断効果が優位となるため,その作用は打ち消されてしまう.
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