今月の主題 循環器薬の使い方
狭心症
βブロッカーの使い方
麻野井 英次
1
Hidetsugu Asanoi
1
1富山医科薬科大学・第2内科
pp.1192-1194
発行日 1984年7月10日
Published Date 1984/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219118
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
β遮断剤は,運動中の心拍数,心収縮性を抑制し,心拍出量,血圧を減少させることにより心筋酸素消費を抑制し,一方では,非虚血部心筋の血管収縮が虚血心筋の血流増加をもたらし,虚血を改善することが知られている1).したがって,本剤は心筋酸素消費の亢進が主役をなす狭心症,すなわち器質的冠狭窄病変を有し,狭心症発作を誘発する運動量(狭心症閾値)が一定している労作狭心症に卓効を有する.しかし一方では,本剤による左室拡張終期圧および容量の増加が,心筋酸素消費量や心内膜下血流分布に影響を与える可能性があること,また冠スパスムの関与した狭心症では,本剤が発作を増悪させる場合があることから2),今日狭心症に対し,β遮断剤が単独で用いられるよりも,亜硝酸剤やCa拮抗剤と併用されるほうが,安全かつより効果的と考えられている現状である.
以上より,狭心症に対するβ遮断剤の効果を予測するには,どのようなときに発作が起こるか,また,それがどのような病態に基づいているのかを把握することが出発点となる.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.