今月の主題 膠原病診療の実際
Editorial
膠原病—現状と問題点
柏崎 禎夫
1
1北里大学医学部・内科
pp.1336-1337
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221029
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膠原病は1942年Klempererが初めて提唱した病理形態学的概念で,全身の結合組織にフィブリノイド変性をきたす疾患の総称である.それまでの臓器病理学あるいは細胞病理学では律することの出来なかった疾患群を包括した考え方で,当時は画期的なものであった.彼が膠原病という概念に含めた疾患は,全身性エリテマトーデス(SLE),強皮症(PSS),多発性筋炎・皮膚筋炎(PM・DM),結節性動脈周囲炎,リウマチ熱および慢性関節リウマチ(RA)の6疾患である.これらの疾患には臨床的にも共通点が見られる.すなわち,①多臓器障害性の全身性炎症性疾患であって,かつ,②再燃と緩解を繰り返す自己永続性疾患であることである.これらの共通点が存在することが,臨床領域で膠原病の理解に混乱を起こさせた一因でもあった.なぜ6疾患に共通点が存在するのかと言うことが理解されるようになって初めて,膠原病の正しい認識がなされるようになった.それには臨床免疫学の進歩が大きな貢献をした."If you know SLE, then you know medicine."(RG. Lahita)と言わしめたように,SLEは今や内科学での代表的疾患であり,自己免疫疾患成立の解明に役立つprototypeとして種々の分野から研究対象とされている疾患である.
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