講座 内科診療における心身医学的アプローチ
消化器疾患(1)—胃・十二指腸潰瘍,ダンピング症候群
川上 澄
1,2
1弘前大学教育学部・看護学科(内科)
2弘前大学教育学部・第1内科
pp.924-930
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220972
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心身医学(Psychosomatic medicine,PSM)は,現代医学の身体的な病変ばかりを追求し,疾患(病気)を持った患者(病人)を診ない,身体的アプローチ一辺倒の医療の反省として生まれて来たものである1).
心身医学が対象とする患者のことを心身症(Psychosomatic Disease,PSD)と言うが,これは「身体症状を主として訴えるが,その診断や治療に心理・社会的因子あるいは性格的因子についての配慮が,特に重要な意味を持つ症例(病態)」と定義されているように,疾患単位ではない.すなわち,心身症とはこの症例は心身両面から診療が必要な症例である,つまり心身症状態(Psychosomatic condition)にある,ということを示す注意書きなのである2).
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