今月の主題 呼吸不全とその管理
呼吸不全の臨床診断
診断のためのプロトコール
檀原 高
1
,
吉良 枝郎
1
1順天堂大学医学部・呼吸器内科
pp.580-582
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220879
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呼吸不全とは,組織レベルでの酸素輸送・炭酸ガス除去の障害をきたす病態をいうが,臨床的には動脈血中の酸素・炭酸ガス分圧値から規定される1).Campbellらは,呼吸不全をPao2<60 torr and/or Paco2>50 torrとし,病態の違いからhypoxaemic failure(hypoxaemia without hypercapnia)とventilatory failure(hypoxaemia with hypercapnia)に分類している2).しかし,hypercapniaの主因は肺胞低換気であり,かつPao2とPaco2は連鎖して変動することより,最近では本病態の主眼を低酸素血症に置く傾向にある.本邦では厚生省特定疾患「呼吸不全」調査研究班(班長 横山哲朗教授)により,Pao260torr以下を呼吸不全として定義するように提案されている3).
他項でも詳細に述べられているが,呼吸不全の基礎疾患は多彩である(表1).さらに実地臨床においては,種々の病態が関与していることが少なくない4).本項では,日常遭遇する呼吸不全症例に対する,その診断から病態把握までのポイントについて解説を加える.
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