今月の主題 甲状腺疾患—up-to-date
甲状腺,この蠱惑的な不思議な臓器
尾形 悦郎
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.366-367
発行日 1987年3月10日
Published Date 1987/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220832
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甲状腺に病変があれば,外から容易に視診,触診ができ,またneedle biopsyにより組織診断もできる.イメージングによる診断手法も,ラジオアイソトープを使ったものまで加えると,文字通り縦横無尽に情報が得られる.甲状腺ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血中濃度の測定については,その感度・再現性および普及率から実用的にはその極に達したとさえ思われる.このように考えてみると甲状腺の疾患は,私達臨床医にとって内分泌疾患として最も身近で頻度も高く,またその臨床的対応が最も完成されたものといえよう.しかし一方で,甲状腺は,まだまだ私達の探求心を魅了してやまないいくつかの大きな謎を秘めている.そのため現在もなお多くの優れた研究者が甲状腺に取り憑かれ,また,その研究成果は甲状腺疾患治療術の微妙なノウハウの発展につながっていると思われる.
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