今月の主題 感染症の動向と抗生物質
治療の進歩
第3世代のセフェム剤はどう使うか
泉川 欣一
1
1佐世保市立総合病院・内科診療
pp.1706-1711
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220570
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近年の抗生剤の開発は著しいものがあり,各種感染症の治療に重要な役割を演じている.とくに,セフェム系抗生剤はセファロスポリンCの分離に伴う化学構造上の不安定化を安定させるため,3位と7位の側鎖を変換することにより,種々のセファロスポリン誘導体の開発が可能となり,次々に優れた抗菌力と広範囲スペクトルムを有する薬剤が開発され,しかも耐性菌対策が化学構造上可能とされ,最も進歩の著しい抗生剤である.しかしながら一方では,このような優れた抗生剤の進歩にもかかわらず,その薬剤の特徴を生かした有用な使用法が行われず乱用される可能性もあり,新しい耐性菌の出現,菌交代による難治性感染症の出現が問題となっている.
セフェム系抗生剤は,1960年代初期にCephalothin(CET),Cephaloridine(CER)の出現以降,現在までに第1世代から第3世代までの約20種におよぶ注射剤を主体とした開発が行われ,臨床の場で定着されつつある.本稿においては,これらのうち,第3世代セフェム系(とくにセファロスポリン系)抗生剤の使用法を,呼吸器感染症を中心に述べることとする.
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