今月の主題 抗生物質の使い方
抗生物質の特徴と使い方
第3世代セフェム剤の使い方
相澤 好治
1
1北里大学医学部・衛生学公衆衛生学
pp.1150-1152
発行日 1990年7月10日
Published Date 1990/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900285
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臨床で有用性の高い抗菌剤としては,抗菌スペクトルが広いこと,微生物に強く作用し,人体に影響の少ない選択毒性が明らかなこと,生体内で代謝されず血中濃度が高く,組織移行もよいこと,排泄があまり速くなく血中濃度が適当時間維持されること,人体の感染防御機構と協力して菌を排除する性質が望ましいこと,少なくとも免疫力低下をきたさないこと,および薬剤アレルギーを生じ難いことなどが挙げられる.
これらの観点からみると,第3世代セフェム剤は現時点で,これらの条件をほぼ満たしていると思われる.第1世代セフェム剤は,グラム陽性および陰性の広範囲スペクトルを有するものの,インフルエンザ桿菌には抗菌力が弱く,エンテロバクター,緑膿菌,プロテウス・ミラビリス以外の変形菌群に無効である.第2世代は,これらのグラム陰性桿菌に抗菌力をもち,嫌気性菌にも一部抗菌活性を示すものがある.第3世代はグラム陰性菌に対する抗菌力が増強し,セラチアにも大部分の薬剤が効果を示し,緑膿菌にも抗菌力を呈するものがある.β-ラクタマーゼに安定で,グラム陰性桿菌のより広い範囲,とくにいわゆる日和見感染菌にまでも抗菌領域の広がったセフェム剤といえる.しかし一般的にブドウ球菌には抗菌力が低く,第3世代の中でも抗菌スペクトルに相違があるので,使用上注意を要する.
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