今月の主題 感染症の動向と抗生物質
治療の進歩
第2世代のセフェム剤を見直す
那須 勝
1
,
後藤 純
1
1大分医科大学・第2内科
pp.1702-1705
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220569
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セフェム剤は,抗菌スペクトルが広く,殺菌的に作用し,人体への影響が少なく,しかも組織移行性がよいことなどから,現在最も繁用されている薬剤である.セフェム剤の世代別開発は,主に抗菌スペクトルの拡大と薬剤耐性機構に対する対応の向上をめざした努力の結果である.したがって一般的には,世代が進むほどβ-lactamaseに対し安定で,グラム陰性桿菌外膜の透過性も良好となり,抗菌スペクトルも広がり抗菌力も強い.しかし例外的に,ブドウ球菌に対する抗菌力は世代とともに低下する.
第2世代セフェム剤は,第1世代セフェムに比べ強毒グラム陰性桿菌に抗菌力を拡大させ,β-lactamaseに対する安定性を向上させた.本稿では,第3世代セフェム剤の繁用される今日,第2世代セフェム剤の位置づけと将来について述べる.
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