臨時増刊特集 エコー法の現況
Ⅱ 診断と治療への応用
C その他の領域のエコー法
62.頭部—小児科領域
谷野 定之
1
1自治医科大学・小児科
pp.2424-2429
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220098
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検査の手順とポイント
①装置,方法 未熟児や新生児(乳児)では大泉門が頭蓋骨欠損部として残っており,ここから超音波ビームを投入することで良好な超音波画像を得ることができる1).この大泉門が大きい場合にはリニアスキャナでも広い視野で観察できるが,一般的にはセクタースキャナのほうが有利である.また探触子は生後6ヵ月以降の場合に超音波の減衰が大きくなることがあるが,原則としては5MHzのものを用いる.将来はさらに高い周波数のものを用いることもできよう.最近は装置の小型化が進み,患者を保育器に収容したままで検査が可能である.実際には患者は覚醒のまま,探触子を直接大泉門に当てて観察する.また小泉門の開大している例では,小泉門からの観察で脳幹や小脳などの部位が,より近視野で捉えられることが知られている.
②走査断面 冠状および矢状断面の2方向からの観察を原則とする.大泉門を中心として,冠状断面では前頭から後頭方向へ,矢状断面では正中から両側頭方向へ連続的に断層面を移動させて観察する.このときに基準となる断層面をいくつか設定しておくことは,エコー像からbrain anatomyを理解する上で大変有用であり,症例間の比較や経過追跡などにおいて客観性や再現性をもたせることができる2).以下に設定した基準断層面に従って正常像について説明する.
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