今月の主題 白血病—最新の知見と治療の進歩
病態と診断
細胞回転
髙本 滋
1
,
太田 和雄
2
1愛知県がんセンター・化学療法部
2愛知県がんセンター・第2内科
pp.1538-1539
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219908
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「細胞回転」—白血病細胞など細胞の増殖動態を一般に細胞回転(cell kinetics)と呼ぶ.白血病細胞の細胞回転は白血病の種類,各症例さらに病期により異なり,一定でない.このため細胞回転の把握は治療上の「敵を知る」意味からも非常に大切で,治療のタイミング,抗白血病側の選択に重要な示唆を与え,予後判定因子ともなりうる.また正常細胞との細胞回転の相異を知ることで治療による副作用の軽減を図ることも可能である.その他細胞回転から見た抗白血病剤の検索は作用機序の解明,至適投与法の確立に有用である.すなわち細胞回転の基礎知識は白血病の治療上必須となる腫瘍,宿主,制癌剤に関して貴重な情報を提供することになる.
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